SNSは、気軽に人とつながれる便利なツールです。遠くに住む友人の近況が分かったり、共通の趣味を持つ人と出会えたり、ひと昔前では考えられなかったような交流が簡単にできるようになりました。
けれども、その手軽さゆえに、知らず知らずのうちに気疲れしていたり、誰かの投稿に心がかき乱されたりすることもあります。
「なんでこんなにモヤモヤするんだろう」と思いながらもやめられない――そんなSNSの人間関係に、しんどさを感じている人は少なくありません。
しんどさの正体を知る
比較して落ち込む
SNSに投稿されるのは、たいてい「誰かの良い瞬間」です。旅行、恋人との写真、仕事の成功、充実した休日。そんなキラキラした投稿を見続けるうちに、「自分には何もない」と感じてしまうことがあります。頭では「見せたい部分だけ切り取ったもの」と分かっていても、心はそう簡単に割り切れません。日常のささやかな疲れや空虚感が、他人の幸福感に押しつぶされるように感じてしまうのです。
反応を気にしすぎる
投稿に「いいね」がつかない、コメントがこない、ストーリーズを見たのに既読スルーされた。そんな小さな出来事に、思った以上に心が揺れることがあります。「嫌われたかも」「見下されてるのかな」と、過剰に受け止めてしまうと、SNSは自分の価値を測る道具になってしまいます。本来はつながりを楽しむ場所のはずなのに、自己評価を左右する不安の温床になってしまうのです。
義務感や無言のプレッシャー
友人の投稿には「いいね」しないといけない。自分も定期的に何か投稿しないと「元気にしてる?」と思われそう。DMにはすぐ返さなきゃ失礼。そんな風に、SNSに“義務”を感じてしまうと、本来の「自由な場」からどんどん遠ざかっていきます。現実の人間関係とはまた違ったルールに縛られ、自分の居場所さえ分からなくなる感覚に陥ることもあります。
心をすり減らさないためにできること
SNSを「使う側」になる意識を
SNSは本来、生活を楽しんだり、つながりを豊かにするための道具です。けれども、自分が「使われる側」になってしまうと、反応や承認を求めすぎてしまいます。「必要なときだけ使う」「見る時間を決める」など、こちらが主導権を持って付き合う意識を持つことが、気持ちをラクにするコツです。
自分だけのルールを決める
たとえば「寝る前には見ない」「フォローは気疲れする相手は外す」「土日はアプリを開かない」など、自分にとって無理のないルールを決めてみましょう。SNSの世界は24時間動いているからこそ、どこかで線を引かなければ心が休まりません。「みんな見ているから」ではなく、「自分に合うかどうか」で選ぶことが大切です。
投稿しない自由、見ない自由を思い出す
SNSでは「何か発信しなければ」という気持ちに駆られることもありますが、何も投稿しなくても、何も見なくても、誰にも責められることはありません。リアルの関係と違い、距離を置く自由があるのがSNSの利点です。「やめなくても、減らす」という選択もできるのです。
それでも人間関係が気になるとき
心が揺れる相手からは距離をとる
見ていてモヤモヤする投稿や、読むたびに自己嫌悪に陥る相手がいるなら、思い切ってミュートや非表示にするのも一つの方法です。直接的なトラブルにならずに距離を取れるのが、SNSならではの利点でもあります。心を守るための設定変更は、けっして「冷たい行動」ではありません。
親しい人に正直な気持ちを話す
「SNSで疲れてるんだよね」と正直に話せる相手がいるなら、その気持ちを言葉にしてみるのも大切です。もしかしたら、相手も同じように感じているかもしれません。「あなただけじゃない」とわかることは、孤独感をやわらげてくれます。心を守るための会話は、SNSの外にこそあるのかもしれません。
自分の「心地よさ」を取り戻すために
SNSでつながることは、決して悪いことではありません。便利で楽しい一面もたくさんあります。ただし、そこに「疲れる」「苦しい」といった気持ちが混じり始めたら、少し立ち止まってみてもいいのです。
大切なのは、SNSに合わせて自分を変えるのではなく、自分に合わせてSNSとの関わり方を選ぶことです。
誰かの反応を気にしすぎるよりも、自分の気持ちに正直になる。誰かの華やかな投稿に惑わされるよりも、自分の小さな満足や安らぎを大切にする。そうしていくことで、SNSとの距離感も自然と変わっていきます。
心がしんどくなるようなつながりよりも、ほっとできるつながりを大切に。あなたが安心して呼吸できる場所を、自分の手でつくっていってください。SNSの向こうにいる人ではなく、今ここにいるあなた自身の気持ちを、どうか見失わないで。
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