人間関係に振り回される

人と接するのがしんどい、人の機嫌に左右されてばかりいる、SNSの一言で一日が暗くなる。そうした“人間関係の重さ”に疲れてしまう人は少なくありません。人と関わるのは避けられないからこそ、どこかで「自分の心の居場所」を持つことが大切です。

なぜ疲れてしまうのか

周りと衝突しないように、嫌われないようにと気を遣い続けていると、相手に合わせることが習慣になり、自分の感情を後回しにしてしまいます。「どう思われるか」ばかりが気になり、自分の本音を出すことに不安を感じるようになります。

誰かの表情や言葉が冷たく感じられると、何か悪いことをしたのではと悩み、反対に褒められると必要以上に安心してしまう。そうした感情のアップダウンが激しくなると、自分の心がどんどんすり減っていきます。

「相手のことを思う」と「相手の責任まで背負う」は別のことです。でも、気づかないうちにその境があいまいになり、「あの人が機嫌悪いのは自分のせいかも」「あの人がうまくいかないのは自分が何か言ったからでは」などと、自分を責めてしまうようになります。

誰とでも仲良くしようとしないこと。自分にとって心地よい距離感を探し、無理のない関わり方を選ぶことが、自分を守る一歩になります。「この人とはあいさつ程度でいい」「この人とは深く話したい」といった線引きがあっていいのです。

他人の言葉で落ち込んだ時、「どうして自分はそう感じたのか」「本当はどうしたかったのか」と自分に問いかけてみることで、自分の感情の癖や、心の奥にある欲求に気づけるようになります。そこに気づくことが、人付き合いのストレスを軽くする第一歩になります。

イライラの原因をすべて「誰かの態度」のせいにしてしまうと、気分が相手次第になってしまいます。「私はそう受け取った」「私はこう思った」と、自分の感覚に主語を戻すだけで、相手に振り回されにくくなります。

人間関係に疲れるのは、自分と他人のあいだに無理な一致や理解を求めすぎているからかもしれません。相手に期待しすぎない、自分を犠牲にしすぎない、ほどよくあきらめること。それは冷たいのではなく、むしろ人と長く関わっていくために必要な、優しい視点です。