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職場のパワハラ・セクハラ

職場でのパワハラやセクハラは、働く人の尊厳や心身の健康を深く傷つける問題です。日々の小さな言動が積み重なり、知らず知らずのうちに心が削られていく感覚——それが続くと、「自分が悪いのでは」と思い込んでしまうこともあります。

けれども、ハラスメントは決して我慢すべきものではありません。今回は、職場におけるパワハラ・セクハラとは何か、どのように向き合えばいいのかを整理し、今後の選択肢について考えてみましょう。


パワハラ・セクハラとは何か

パワハラ(パワーハラスメント)
 職場での立場や権限を利用して、業務の適正な範囲を超えて他人に精神的・身体的苦痛を与える行為。怒鳴る、無視する、仕事を与えない、過剰な業務を押し付けるなど、さまざまな形があります。

セクハラ(セクシュアルハラスメント)
 性別に関連する不快な言動によって、相手に精神的苦痛を与える行為。身体への接触、性的な冗談、容姿への執拗なコメント、「女だから」「男だから」という発言も含まれます。


よくある具体例とその影響

上司が毎日叱責し、人格を否定してくる
 「何度言えばわかるんだ」「お前は仕事ができない」など、ミスの範囲を超えて人格そのものを否定するような言動は、パワハラに該当します。継続的に受けることで自信を失い、うつ状態に陥ることもあります。

飲み会で身体に触れてくる、性的な話題をふってくる
 職場の上下関係がある中での「冗談」は、断りづらさや不快感を強くし、深い心の傷となることがあります。相手が「軽い気持ち」であっても、受け取る側が不快ならばセクハラです。

一部の人だけに冷たい、あからさまに無視される
 業務連絡を回さない、質問に答えないなどの「排除」も、見えにくいパワハラの一種です。孤立を生み、仕事への集中力や意欲を大きく損ないます。


我慢し続けないために

「自分の感じ方は間違っていない」と確認する
 「気にしすぎかも」「自分が弱いのでは」と感じることがあっても、不快に思ったその気持ちは正当なものです。ハラスメントかどうかの判断基準は「相手の意図」ではなく「あなたがどう感じたか」です。

記録をとる
 日時・場所・内容・相手・自分の対応を簡単にでも残しておくことが大切です。証拠があることで、相談や通報の際に話がスムーズになり、内容の信憑性が高まります。

信頼できる人に相談する
 同僚、労働組合、社内の相談窓口、あるいは家族や友人など、まずは一人で抱え込まず、言葉にして共有することが大切です。外部の相談機関も活用できます。


外部機関に頼るという選択

労働局の総合労働相談コーナー
 全国に設置されており、パワハラやセクハラに関する相談に無料で対応しています。匿名でも利用可能です。

法テラスや弁護士相談
 もし加害行為が悪質な場合、法的手段を検討することもできます。相談は無料で受けられる場所もあるので、精神的に追い詰められる前に一度話を聞いてもらうのも選択肢です。

メンタルヘルスの専門機関
 不安や不眠、涙が止まらない、食欲がないなどの症状が出ている場合は、心療内科やカウンセラーの力を借りることも考えてください。心のケアは決して後回しにすべきではありません。


「辞める」という選択肢もあっていい

心身に深刻な影響が出るような状況であれば、我慢を続ける必要はありません。環境を変えることで救われるケースも数多くあります。

逃げることは負けではない
 「今の職場を離れたらダメな人間と思われるのでは」と考えてしまうかもしれませんが、ハラスメントのある職場にしがみつくことこそ、あなたの力を削る行為です。自分の命と尊厳を守る選択を優先してよいのです。

次のステップを一緒に考えてくれる人はいる
 転職エージェントやキャリアカウンセラーは、現職の状況を踏まえて新たな環境への道筋を一緒に考えてくれます。孤独にならず、安心して踏み出せる土台をつくりましょう。


自分を守るためにできること

職場のパワハラ・セクハラに直面したとき、大切なのは「自分を責めないこと」「ひとりで抱えないこと」「助けを求めること」です。あなたの感じた違和感は、決して小さなものではありません。

自分の価値や未来を、他人の不適切な言動に左右される必要はありません。まずは声をあげることから。そして、安心して働ける場所を探すことを、どうかあきらめないでください。あなたの存在が軽んじられる職場に、無理にとどまる必要はありません。

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